レディ・ラックとは確率論における概念上の存在で、不確定である確立の性質を女性の気まぐれに例えたもの。または幸運の女神を称してこう呼ぶ場合もある。験を担ぐ意味合いでこれを信じる人は多く、特に交際している女性のおかげで良い事が起こったように思えたときなどにはその女性をこの名で呼ぶことなどもあるという。一部の数学者ないしは賭博をする人たち以外はあまり使用しない言葉だが、反面彼らの間では馴染み深い言葉となっており、ラスベガス付近にはこの名を冠したホテルも存在する。はじめにこの呼称を使い出した数学者は確率論の祖とも言える人物で、彼もサイコロ賭博を見ていて確立を研究しはじめたという逸話が残っている。確立の世界での賭博というのははっきりしているもので、期待値を常に算出しながら勝敗を思考する。初歩的な計算ではコインの裏表を当てることで勝敗共に同一額のやりとりを行う方式などは確立は5割となる。故に1回勝ち越したら止め時、1回負けても引き時とするのが基本である。しかし、回数と掛け金の上限がない場合には話が違ってくる。負ける毎に倍額のベットを賭けて次の試合に挑み続け、勝つまでそのゲームを続けた時、勝った時点で必ず初回に勝ったのと同じだけの利潤が生まれるのだ。当然、勝ったらまた初回の賭け金に戻すのを忘れてはならない。この方法はレディ・ラックを知り尽くしたもののみが知るスタンダードな方法である。仮に1ドルから賭け始め4連敗し5回目で勝ったとしよう(この状況が確率的には3%程度だが)。すると損益が1+2+4+8で15ドル使っているが、最後が16ドルの勝ちなので結果は1ドルの利益ということになる。当然ながらこの方法は掛け金を指定でき、勝った時の倍率が固定されているゲームでしか使用できない。50%の勝敗と200%の利潤だから100%という単純な思想なわけだが、これこそが基本にして極意なのだと言えよう。ベットの上乗せが可能な勝負の場合には1単位(初回賭け金相当)だけをはじめに振っておいて、後から勝ち目があるなら上乗せという方法も出来る。なお、1単位負けが何回も続いた場合には倍賭け方法では取り返しきれなくなりうるので次回以降の賭け金にその分も加算しておこう。厳密に言えば負けた額の合計+1を賭け続けているので勝った時点で+1の黒字なのである。この方法の最大の欠点は手持ちの軍資金が尽きた時点で戦略が成り立たないので、手持ち金額の八分の一を賭ける段階が最大額のボーダーラインと思って欲しい(推奨初期ベットは初期所持金額の32分の1)。800ドルのうち100を賭けているということは、負ければ700のうち200を、そこで負ければ500のうち400を賭けるという具合に加速してしまう。この三連敗は12.5%の可能性である以上、楽観視はできない。次の掛金が100になってしまった時点で全額賭けを3連勝しなければその時点まで戻ることすらできないのだ。この八分の一を負けてしまった場合というのも踏まえた戦略をここでお教えしよう。800で100を負けて残り700となった背景には、おそらく50負けと25負けの二回があっただろう。するとここまでで-175の赤字で、一回の賭け単位は25で計算してきている。それを50賭けで再スタートするのだ。そして今度は200賭けになるまで勝っても負けても倍ベットする。すると全負けしても残りが350あるので、ここでの三試合分は全賭けすれば一回で復旧が可能、1回でも買っていれば450ないし550ないし750、2勝ならば650ないし800ないし950、全勝なら1050となる。二敗して復旧がほぼ不可能となる直進案から比べると期待値としてはかなり有利となる。実際には25%で初期手持ちである前提の875以上、62.5%で損なし(戦略切り替えタイミングの手持ち700以上)、損する確立は37.5%となる。これで450〜650という損益になったら手持ちの14分の1を初期値としてまた3試合の連続倍賭けにするのである。仮に450からだとして32を初期値とする(32+64+128で計224必要)のだ。すると先刻と同様の62.5%対37.5%の損得期待値で金額単位が約60%に小さくなると思って欲しい。これが550の残高の状況であれば39を初期とすることで全勝すれば700までに手が届く計算になる。この方法で驚くべき点は「損なしの62.5%」の確立範囲は完全な引き分けはなく、この3試合においての黒字である点である。3分の2には少々欠けるが、この戦略は4連敗しない限りそうそうは破産せず、数試合前の状態まで時間を戻したような状況を生み出しえるという魔法の戦略なのである。基本的にはこの戦略は負けない手段という前提なので、堅実に勝ちたい人は前半の負けたら倍がけ、勝ったら初期額でというのを薦めたい。それでも一定額以上負けが見えたらこの戦略に変更して耐えつつ回復を謀るのである。また、ルーレットの赤黒などの場合には0や00などのディーラー総取りもあるので実際には約2%程度勝率が下がるし、ポーカーなどのように勝った時の役などで倍率が変わるゲームになってしまうとこの戦略は困難となる(最低勝利を前提にベットするというハイリスクハイリターンな方法もなくはない。ツーペアで勝っても条件を満たせる高倍率のベットを賭ければよいが、そのベットで高い役で負けた場合にはより負けが大きくなる)。どうあれ、それらは全てそれぞれの勝てる見込みと賭け金倍率次第である。勝敗がはっきりしている対人賭博においてはこの確立、すなわち気難しい幸運の女神を捕まえたものが圧倒的優位に立つ。あとは軍資金が尽きる前にレディ・ラックが微笑んでくれるように祈るばかりだ。最後におさらいとなるが、勝率5割で自由に賭け金を決められるゲームでのみ有効、勝ったら初期額での賭けを続ける、負けたら倍賭けの繰り返し、現在所持金の8分の1を賭けて負けたら残額の14分の1を基準に三試合連続で勝敗関係なく倍賭けしていく。全敗したら後がないので残額全賭け。全敗以外で赤字もしくは全賭けで勝った場合にはもう一度14分の1基準試合を、勝ち越しで黒字になったらまた最初の戦略でと繰り返す。残金が初期の50%を下回ったときに全賭けないしは半額捨ててあきらめるのも一つの手段。基本的には全賭け1回で初期所持金額の70%まで回復できない場合には負けだと考えるべき。実弾を大量準備しておくことで小額の稼ぎを確実に積み上げる戦略なので、利回りの元が取れるなら、借金してでも破産を避ける保険を用意するのがセオリー。ただし、大金があっても賭けるのは小額からということを忘れてはならない。推奨はあくまで初期所持金の32分の1以内。
初期所持金を450とした時には初期7として、3連敗した時(7+14+28で負けた時)、次の56には移行せずに28(手持ちの14分の1)+56+112の3連戦、これで62.5%の確立で2連敗だった段階よりも良い状況、さらにはそのうちの40%(勝敗全体でも25%)の確立で一戦目から勝利したのと同等以上の状況になるのである。全敗じゃなければ赤字でも同様の手順を繰り返すことで五分五分の勝負を繰り返せば数回で元の所持金には戻す事ができる。これこそがレディ・ラックの魔法というわけである。もしも全敗(6連敗、およそ1.5%)したか、繰り返しても3分の2以上負け続けている運のない人は残念だがどうしようもない。この例で所持金が150を下回る前に全賭けで起死回生を目指すか、これ以上負けないように諦めるかをオススメする。というのも、全敗した人が普通に倍賭け方法で6連敗していた場合には残額9で、復旧には6連敗と同じ確立の6連勝をしなくてはならない。初回の賭けの前なら6連勝も6連敗も同じ確立だが、6連敗直後の(以降無敗でなくては成立しない)6連勝は果てしなく不可能に近い。先の6割復旧方法なら6連敗の段階でも205の残金があるので引くか大博打かのチャンスが残るというわけだ。数学が苦手な人には話が長くてゴメンな。とりあえずこの方法は対等条件の賭け事でのみ可能な、負けないプロのギャンブルなので、カジノとかヤバイとこではやらないことをオススメする。裏口とか事務所に連れ込まれる前に、適度なとこで引き上げるのがよい。とりあえず単純計算で勝率5割のゲームをおよそ6〜7割の勝率に化けさせる魔法なのだ。ただし、この方法にはひとつだけ大きな弱点がある。内輪でのゲームの場合には自分が胴元(親)になったときに、他のプレイヤーがこの方法を知っていた場合だ。成功するにはまず自身が子として賭け金を設定できる必要があるのである。ゆえにオンラインカジノやコンピュータゲームなどで行うのが理想だろう。 |